第22回 全日本オラザク選手権応募の思い出。

2020年7月15日

ずっと書きたかったオラザクの事。

先日無事シャアザクが仕上がりましたので"第22回 全日本オラザク選手権"へ作品を応募した際の思い出を綴ります。まず本題に入る前に応募を思い立つまでの経緯にお付き合い頂きたいと思います。例の如くちょっと長いです

模型をやめて、模型を始めた。

田舎のはぐれオタクだった僕は高校卒業を機にスッパリと模型をやめて、大都会(仙台市)の専門学生となりました。たいそう真面目に勉学に励み、その甲斐あって信じられない程度のブラック企業に就職を果たします。

幸いな事に金払いだけは中々に良いブラック企業でしたので、若さや大切ないくつかの物を犠牲にしつつ毎日毎日必死に戦い続けていましたが、2011年3月11日 東日本大震災が発生。その後は案の定金払いも悪くなり、いよいよブラック企業から深淵企業へと成り果てた事から僕は、田舎へと帰省しました。

完全に参っていた僕は失意の中で養生生活を送りながら(ニートは最高だった。毎日昼からもりもりビール飲んでた。) それでも数ヶ月後には「よっしゃ!仕事でもすっかー!」と思うまでに精神の状態も回復し、まぁ素敵な縁もあり無事穏やかな日常を手に入れることが出来ました。

生活に余裕、気持ちにゆとりが生まれると人間は人生をより豊かにする事を考え始めるもんで、少年の頃から延々と飽きずに遊んでいた模型の事を思い出し2017年の夏、フラッと模型屋に足を運んだのです。

「模型を今やるならTwitterを使って自分の模型を発信しよう。どうせなら当時と同じくブログをこさえよう!」と適当にその辺でブッサイクな顔で寝ていた飼い猫の”ろろ”の名を拝借してTwitterアカウントを作成し、レンタルサーバー&独自ドメインを取得。間髪入れずWordpressをサーバーにぶち込み、勢い余ってデータベースを2~3回ぶっ飛ばしながらもこのブログを設立。そして今日にいたります。どうもろろです。

2019年初夏。"オラザク"に応募しよう。

再開にあたり選んだのは"HG 機動戦士ガンダム THE ORIGIN シャア専用ザク" です。
夢中で作っていましたが色々あって"あと少しで完成"という所で制作から約2年の月日が流れておりました。その時、2019年夏。僕はふと「オラザクに応募した事無かったな。これで勝負してみたいな。」と初めて"全日本オラザク選手権"(以下オラザク)への応募を決意します。というか模型コンテストに参加する事自体、初めてでした。

絶対に勝ちたい。

上記画像は、"第22回 全日本オラザク選手権"への応募の際にこしらえた制作に関するプレゼン資料です。

さて。上記資料(改修点をまとめた画像)ですが、当時の僕は作品そのものが締め切りに間に合うか間に合わないかの最中で模型をほっておいて資料を必死にレイアウトしていました。

何故そのような事を?と問われると色々理由はあるのですが、包み隠さずに本音を言えば…「鬼のように上手い他の応募者をせめて自分の得意分野では出し抜きたかった」からです。

模型を上手い下手に分断するのはなんとも味気ない貧相な事だとは重々承知ですが便宜上ご容赦ください。オラザクに応募される作品は近年では1,000作を優に超え、皆さん自慢の腕をぶんぶん振るいます。沢山の力作が一堂に集まるわけです。恐ろしくて吐き気がしますね。

そしてオラザクは「貴方(応募者)が一生懸命作ったガンプラ写真を審査員が見て判断する。」そういうコンテストです。

まず作った"ガンプラ"に関しては全員平等、小細工無しです。審査員の皆さんに評価して頂けるような作品を真摯に作るのみです。

そして次に作った模型を撮影した"写真"です。オラザクはあくまで"作品を納めた写真を審査する"コンテストです。言うまでもありませんが色々な意味で審査に耐え得る写真を応募するべきですが、かく言う僕はその辺の景色や家族をカメラで撮影するのは大好きですが、模型を撮る(ブツ撮り)に関しては得意では無いのでここで他の応募者と差を付けよう!とはとても思えませんでした。

そして最後に。"一生懸命"の部分ですが、「見ればそれで全てが解る…」という一線を越えた、ただならぬ妖気を放つとんでもない作品であれば、もはや言葉は要らないのでしょうが残念ながら僕はその域には立っていません。見て頂ける審査員の方に分かりやすく(押しつけがましく)「頑張ったよ。どうですか?」とお伺いを立てる必要がありました。

僕は仕事柄、画像や文字を1枚〜複数枚の紙(画像)にレイアウトする事に関しては一日の長があります。オラザクでは作品のプレゼン資料が重要だということは、過去受賞された方の発言や、ホビージャパン誌のオラザク編集後記的な記事を見てもあきらかです。(当然作品ありきですが。)

ここしか僕が生き残る術は無いと思いました。一生懸命頑張った部分をパッと見で分かりやすく、尚且つ注視すれば細かに内容が伝わるよう工夫して制作内容をまとめました。

一次審査の段階で1,000作を超える作品を一気に審査して頂く訳なので、正直こさえたプレゼン資料まで目を通して頂けたのかどうかはさっぱり分かりませんが、上記の通り一瞬でも目に入ってくれさえすれば「こいつ、わりと頑張ったな。」という事が一発で伝わるようにしたつもりです。

んー。ちょっとお行儀が良い感じになってしまいましたね。もっと本音でいきましょう。コンテストの主催であるホビージャパン誌の作例ページのテイストに寄せてレイアウトするという仕掛けまで用意し、媚びに媚びました。プレゼンタイトルのフォントに関してもアニメ "機動戦士ガンダム THE ORIGIN"に使用されているロゴのフォントを調べて同種の物を使ったりもしました。

模型に関しては正解も不正解も無い。自由気ままにおだやかに。というスタンスでヘラヘラ楽しんでいましたが、全日本オラザク選手権は明確に"コンテスト"であり、優劣を争う場と認識しています。少なくとも僕は応募の際に覚悟を決めましたし、出すからには絶対に勝ちたかった。(目標達成したかった)

おわりに。

戦いの場に置いて自分の使える武器をなりふり構わず使った事に対して何の後悔も無いのですが、今考えるとやっぱり「いやぁ。我ながら必死だったなぁ。」と少し可笑しさもあります。

そしてオラザクへ応募を決めてから締め切りまでの制作は、表には出しませんでしたが精神的に"くる物"がありましたし、結果発表の日が近づくにつれて、吐き気を催す日々が続きました。人によってはこの刺激を楽しみにするんでしょうが、いやぁ、僕には全然合わない。もぅシンドイ。しばらく模型のコンテストへの参加はご遠慮被る。と強く思います。

とか言いつつ、普段から親しくして頂いている友人には「それでもまた出したくなっちゃたりして!」的な事を以前言われたのですが…何となくそれも分かる気がします。ふむ。僕の模型生活らしいと言えばらしいな。

ブレブレなるままに、日ぐらし硯にむかひてーーー

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