ゲート処理の基本は"ニッパー二度切り"→"ナイフでゲート跡を整える"→"ヤスリがけで平らにする" この3ステップ。
まずゲートとはガンプラ(プラモデル)のパーツとランナー(枠)を繋ぐ細かったり、薄かったり、たまにくさび型にすぼまっている部分の事を言います。
当然ガンプラを組み立てる際にはパーツを切り出さなければ進まないのですが、パーツを切り取った後に残るゲート跡を何かしらの方法で平ら(目立たなく)にする作業をゲート処理と言います。
何故ゲート処理が必要かというと、パーツ同士の噛み合わせに悪影響を与える場合もあれば、ゲート跡が残っているとプラモデル感が出て見栄えが悪いと感じる人も居るからです(もちろん見え方は人それぞれですが)。
本記事では初めてガンプラのゲート処理に挑戦してみたい!という初心者モデラーの方を対象として、未塗装(色塗り無し)を前提とした、基本的なゲート処理の手法を3ステップに分けて紹介します。
基本のゲート処理に必要な道具は3つ ニッパー・デザインナイフ・紙やすり!
基本のゲート処理を行う場合に必要な道具は、ニッパー・デザインナイフ・紙やすりのたったの3つだけ。
全て揃えても3,000円位なので、上記の3つの模型道具をお持ちで無い方はまずは購入するところからスタートしましょう。(下記記事ではおすすめのニッパー・デザインナイフ・紙やすり+ピンセットを紹介していますので合わせてご覧下さい。)
実践!3ステップで簡単!基本のゲート処理。
ステップ1: ニッパーでゲートをちょっと残して切る。
最初にパーツをランナーからニッパーを使用して切り離すのですが、大抵のニッパーは刃を当てて切った部分をほんの少し抉るようにしてパーツを切断します。
切ると言うよりは、噛み千切ると言ってもよいかもしれません。
そのため、ニッパーでゲートとパーツの境目のキワを最初から切り取ってしまうと、大事なパーツ側に小さな凹み(欠損)や、噛む際に生じる圧力でパーツのゲート付近が白化して余計に切り取った跡が目立ってしまう場合があります。(塗装する場合はこの白化現象は気にしなくて大丈夫です)。
そういったミスを極力避けるべく、二度切りというニッパーの使用方法があります。
ニッパーを用いた二度切りの具体的なやり方
枠部(ランナー)からパーツを切る際にはゲートと呼ばれる枠よりも、細くて薄い部分をほんの少し残すようにカット。
この際、刃を逆に入れて切る事を覚えるとゲートが小さいタイプのプラモでも油断でゲート付近ギリギリを切ってしまった!という事故が防げるのでおすすめです。
ニッパーの背とパーツの面が平行になるように沿わせてゲートをカット。
刃の入れ方ですがゲートは大抵、長方形状になっているはずなので長辺に刃を添わせるようにするとえぐりや白化のリスクを最小減に抑える事が出来ると思います。
このように2回に分けてパーツをカットすれば、抉れも白化も無しで綺麗にパーツが切り取れるかと言えば……。
二度切でもギリギリで切ると抉る時は抉りますし、白化する時は白化します。
イケてるニッパー(2,000円オーバーの薄刃ニッパー等)を使用すればそれほど発生しないのですがそれでも、ギリギリをニッパーで攻めていると、不意打ちのように遭遇してしまうかと思います。
なので、ゲート処理の基本としてはまず、ニッパーの二度切りで若干(01.mm〜0.5mm程度)ゲートを残すという事を覚えておきましょう。
ステップ2: 残ったゲート跡をナイフで切る。
ニッパーで残したゲート跡を今度はデザインナイフでカットします。
ニッパーと違いデザインナイフの刃はとても切れ味が良いのでスッとゲートに刃が入って行きます。
その分、慣れない内はニッパーで残したゲートを切る時に抉るというかパーツまで削いでしまう場合も有るかとは思いますが、数をこなせば直ぐに上手に切れるようになります!頑張りましょう。
もう一つ、デザインナイフを用いる作業で注意したいのが刃を進める操作線上に指を置かない事です。
作業中に刃が滑ってピューンとなった時に指を切ってしまう恐れが無い様にパーツを摘まむようにする事を常に意識して安全に作業してくださいね。
また、デザインナイフの刃はゲートをカットする回数が増えるにつれて切れ味が落ちていきます。
切れ味が良い=怖い印象がありますが、実は切れ味が落ちてカットに力が必要になればなるほど、刃が滑ってピューンとするリスクが高まるので、面倒でも切れ味が落ちたと感じたらマメに刃を替えるようにしましょう。
ステップ3: ヤスリをかける。
裏に400番の紙やすりを2回折って紙やすりにコシ(固さ)を持たせます。
次に紙やすりを折った面をゲートに当てる様にしてショリショリと優しく擦ります。コツはゲート跡だけを削るのではなく、ゲートが存在する面全体を慣らす様にヤスリを当てる事です。
400番でゲート跡をすっかり平らにしたら、同様の手法で600番→1000番と番手を上げてヤスリで入った傷を周辺と馴染ませていけばゲート処理は完了です!
ここまでの基本のゲート処理まとめ。
ゲート処理
- 基本のゲート処理に必要な道具は ニッパー・デザインナイフ・紙やすり。
- まずはニッパーでゲートを少し残してパーツをランナーから切り離す。
- 次にデザインナイフで残ったゲートを切る。
- 紙やすりでゲート跡を削り周りと馴染ませる。
まず前提として、ガンプラを作るのにゲート処理は絶対にしなければならない作業ではありません。
最低限パーツの噛み合わせに影響しそうなゲート跡だけ処理しておけばガンプラは組み立てる事が出来ます。
しかし、基本のゲート処理で覚えたデザインナイフの使い方、紙やすりの使い方はガンプラ製作の作業で応用が利いてくるはずです。
ゲート跡が気になる部分だけ絞って処理してみたり、自分で自分の"作業強度"を調整しつつ気が向いたら是非挑戦してみてくださいね。
これでバッチリゲート処理!って書籍も多いんですがね。……正直な話しをしましょう。
ここまでだと削ったゲート跡、全然目立ちませんか?
これでゲート跡はバッチリ目立たなく……なりませんよね?
さて。上記の3ステップでゲート跡は確かに綺麗に平らにはなったはずなのですが……。
ゲート跡を削った部分と削ってない部分の艶具合の差から「綺麗に消えた!」という手応え全然無かったりしません?
逆に言えば、艶具合の差を解消出来れば綺麗に消せた感が出そうですよね。
さてその場合どうすれば良いのでしょう?
艶感の調整法その1。更にひたすら磨く。(超メンドクサイ)
艶感の差を無くす一つの方法として、「艶が消えた部分の艶を再び出す」方法があります。
具体的な作業としては、ゲート処理をした面を更に頑張って磨き続け(高番手の紙やすり〜コンパウンドという液状の研磨剤を用いてひたすら擦り)ます。
次第に艶を失ったゲート跡が艶々になっていくにつれて「ゲート跡が綺麗に消えたなぁ」!という気持ちの良い手応えが得られるはずなのですが……。
この処理をガンプラの全パーツ(ゲートが有った面)に行うのはハチャメチャに大変な作業だと思います。
反対に艶のある面を全て削って同等の艶消し具合にするという方法もありますが、これも中々に手間ですね。
艶感の調整法その2。トップコート材を使用して全体の艶感を統一する。(超簡単)
上記では削る(磨く)事により艶感を調整する、過酷な方法を紹介しましたが、それに比べ、遙かに簡単に艶感を調整する方法が有ります。
それはトップコートと呼ばれるプラモデルの艶の調子を整える透明な塗料(スプレー)を使用する方法です。
ゲート処理が終わったパーツ(作り終わったガンプラ)にプシューッと吹きかけるだけで、何やかんやの作用や効果が働きパーツの艶感を艶消し・半艶・艶有りの3調子のいずれかに統一出来ます。
全部のパーツをひたすら磨いてゲート跡を馴染ませるのか?
出来上がったガンプラに透明な艶調整材のスプレー(トップコート)をサッと振りかけてゲート跡を馴染ませるのか?
どちらが良いとは敢えて言いませんが、圧倒的に後者の方がゲート跡を楽に馴染ませられるというのは間違いありませんね。
ガンプラだと半つや・艶消しのトップコートを使用している先輩方が多いと思います。
またゲート跡とそうじゃ無い部分の艶の差問題は、全塗装する場合もそこまで気にしないでも良いです。
おわりに。それでもゲート跡は目立つ場合は多々あります。
ここまで、ゲート処理の手法を紹介してきましたが、二度切りしようが、デザインナイフで丁寧にゲート部を切り離しても何故か白化しちゃう時は多々あるんですよね。
そして基本的に、一旦白化させてしまうと、削り込もうが、トップコートを散布しようがゲート跡は中々消えてはくれません(溶剤系セメントを塗るって手段もあったりしますが)。
そしてこの白化現象は、ガンプラ作りが上手いから白化しないとか、下手だから白化するとかじゃなくて、プラモデルの仕組み上、誰がどう挑んでもゲート部付近の白化現象は回避しようが無いんですよ。
なのである程度やって消えない!とか白化跡が見える!っての場合は誰しも皆がそんな感じなので、あまり気にしすぎないってのが一番のゲート処理の"コツ"だと思っています。
もしそれがどうしても許せず、完全に跡形も無く仕上げたいといった場合、デカール(コーション類)を用意して上から貼って誤魔化してみたり、ウェザリングや全塗装をして補ってみたりと、ガンプラ作りの時間や手段(設備)の幅を広げてドンドンと深化させていくタイミングなのかも知れませんね。
楽いと思える範囲で手間暇かける位のバランスで楽しみたいですね。僕はどっちか言うと手間暇かけすぎてキツくなるタイプです。