大抵どのhow to本でも、合わせ目消しは簡単に出来る初級テクニックとして「君のガンプラのステップアップの第一歩!」的なノリで解説されることが多いですよね。
……ハッキリ断言しますが無塗装(全塗装をしない)の場合、合わせ目消しは非常に難しいです。
作業自体は確かに簡単ですがゴールとするパーツの合わせ目を完全に消し去るのが存外難しい!!!
調べてみたらGoogleの検索ワードで"合わせ目消し 無塗装"の検索回数が合わせ目消しというジャンル内で上位3位に入る程(要は沢山ググられてる)、多かったんで「これはまずい」と思った次第です。
もちろん上手に無塗装で合わせ目を消している人はいますが、そう言う人はスペシャルです。参考にすると怪我をします。
合わせ目消し作業で、合わせ目が無くなる理屈。
結論から言えばパーツ同士の隙間を完全に埋めて(隙間を無くして、)合わせ目が出る面の表面を真っ平らにした状態で固定する事が出来れば合わせ目は消えます。
その際に接着剤を使用するのですが、大まかに分けるとプラスチックを一時的に溶かして溶着(癒着)させるタイプの溶剤系接着剤と、プラスチックを溶かすことが無いけれど、物同士を強力に接着出来て剛性もある程度有る瞬間接着剤を使用する場合が多いです。
無塗装での合わせ目消しが難しい理由。
冒頭の通り、合わせ目を物理的に無くする工程自体は多くのhow to本でも書いて有るとおり非常に簡単なので、練習すれば誰にでも完璧に出来るようになります。
では何故無塗装では非常に合わせ目消し作業が難しいというと……問題は色です。
溶剤系接着剤の染みor白化で消した合わせ目のラインが"見えて"しまう。
溶剤系接着剤をガンプラのパーツに塗ると僅かに整形色(パーツの色)を変化させてしまう作用(細かい話をすると作用とはまた違うけど)があるので、合わせ目の隙間や段差は消えて(無くなって)いるけど合わせ目がそこに有った事が丸わかりという悲しい結果になります。
更に彩度が高いor明度が低い整形色であればあるほど変色が発生しやすくなります。
そして厄介なのが希にこの変色が発生しない場合があるので、「上手く行く時と、行かない時の差は一体なんだろう……」と安定しない結果に悩む事になりがちです。(経験上接着剤の使用量が少ない場合変色しづらいような気もしますが、変色する時は何して変色する。)
乱暴ですが結論づけてしまいましょう。変色が起きるか起きないかは運次第です。上手く行かず悩んでいるあたなに原因はありません。
近年人気の速乾系流し込みタイプのセメントを使うと多少この変色具合もマシになったりしますがそれでも、やはり合わせ目付近が変色しちゃう事が多いです。
特にまずいのが……溶剤系接着剤を使った場所は時間が立つと"黄色く変色"する。
溶剤系接着剤を使用した場合数年で接着剤を塗った部分、つまり合わせ目のラインが黄ばんでしまう事が多々有ります。
例え制作時に上手いこと合わせ目が目立たなくなったとしても、後々合わせ目が黄ばんで目立つようになってしまったら……とても悲しいですよね。
瞬間接着剤を合わせ目消しに使った場合はそのまま"瞬間接着剤の色"が見える。
プラスチックに染みこむ等の作用がない瞬間接着剤を用いた場合はどうかというと……。当然ながら、こんどは合わせ目に瞬間接着剤の色が残るので、合わせ目消しをしない時とあまり見栄えが変わらないので、無塗装の場合は瞬間接着剤を合わせ目消しに使うべきではありません。
ガイアノーツより、瞬間カラーパテというCMYK+ホワイト・フレッシュ(薄いオレンジ)の色つきの瞬間接着剤が発売されていて、原理的にはCMYKを混ぜ合わせることにより限りなくガンプラの整形色に近い色の瞬間接着剤が作れれば、合わせ目を目立たせない事は出来るとは思いますが、おそらくハチャメチャに調色が難しいと思うので現実的では無いと思います。
ガンプラの合わせ目消し、本当に必要ですか?
上記の都合、僕は無塗装(整形色仕上げ)の場合、合わせ目消しは無理にしなくても良いと思っています。
ガンプラなら極端に古いキットでも無い限りは、パーツの合いもしっかりしているので、下手に手を出すより手を出さない方が最終的に綺麗に着地出来る場合が多い気がします。
近年発売されているMGや場合によってはHGUCシリーズのキットでは、そもそも合わせ目が発生しない、もしくは目立たない設計になっているので、そもそも合わせ目で悩むという場面自体が近年ではめっきり減ってきたように思えます。
合わせ目が少なめのキットのオススメとか知りたい場合は、この記事のコメントやらTwitterとかでDM下されば一緒に探しますよ~。
無塗装の合わせ目消しは"ウェザリング"と組み合わせるてみると良いかも。
全塗装までやらずとも整形色の上から、ウェザリングと呼ばれる手法と合わせ目消し工作を組み合わせた場合は、一気に合わせ目部分の見た目の誤魔化しがきくようになるので、もし合わせ目消し工作に挑戦したいぞ!という場合は合わせてウェザリング仕上げにも挑戦してみても良いかも知れませんね:-)
ちょっとした合わせ目なら段落ち処理でディテールにしてしまうのもオススメ!
また。ちょっとした合わせ目の場合、合わせ目消しを行うよりも段落ちモールドとして合わせ目では無くデザインです!と主張して誤魔化す手法もとてもおすすめですね。
余談。全塗装場合も合わせ目を一発で綺麗に処理するのは意外と難しい。
google検索ワードの"合わせ目消し"というジャンル内で、"合わせ目消し 失敗"というワードでの検索が上位(沢山調べられている)となっていました。
上記記事では全塗装を前提としていますが、合わせ目消しを"一度失敗した所"から"絶対消し切れる方法"をまとめた、ろろのブログの人気記事です。
上手く消えない……とお悩みの際は是非併せてご覧下さい。
上記の記事の方法実践して貰えばホントに絶対消せます!ファイト!!
無塗装での合わせ目消し まとめ
無塗装合わせ目消しは…
- 大前提、合わせ目を塗装無しで消すのはとっても難しい工作。
- 溶剤系接着材と瞬間接着材どちらを使用しても合わせ目を接着した部分の色がパーツと完全に同じにはならない場合が多い。
- 腕が良いと変色が起きるとか起きないとかそう言う問題じゃ無い。
- 無塗装の場合、いっそ合わせ目なんか気にしない方が良いのではないか?
- それでも気になる場合、段落ち処理を施すか、ウェザリングと合わせて誤魔化すのがおすすめ。
「接着して削る。すると消える」と簡単な作業ではあるものの塗装を施さない場合には最後の"すると消える"が中々実現しません。
そこで「やり方を間違えている?」とか「自分は下手クソなんだ……」と立ち止まってしまうorしまっている人がgoogleの検索キーワードのボリュームを確認した限り、大勢居そうだと思ってこの記事を書きました。
くどいようですが、色を塗らない場合の合わせ目消しはハチャメチャ難しいので、そこで悩む位ならキッパリ目消しなんかしないで次のガンプラを組み立てたり、なんあら塗装に挑戦してみたりしたた方が遙かに楽しいと思います!
たまに一昔前のキットを組んだりすると「合わせ目多過ぎじゃね?」と錯覚してしまう位には最近のキットは合わせ目が無くて楽なので、僕もそういうキット選んで作って居る節が最近はあります。この記事はここでおしまい!!!